解説: Expedition 33 - Act I. ギュスターヴ
プロローグでは、海上の孤島都市ルミエールを舞台に、毎年大陸のペイントレスがモノリスに描く数字に達した市民が花びらのように霧散するゴマージュの様子が語られた。発明家ギュスターヴは恋人ソフィーを今年のゴマージュで失い、その悲嘆を抱えたまま、養妹マエル、第 33 遠征隊員とともに大陸へと出航した。Act I は、その先で遠征隊を待つ大陸の現実から始まる。
Table of Contents
- 1. 暗き海岸
- 2. 春の牧草地
- 3. 浮遊する水
- 3.1. 屋敷
- 3.2. キュレーター
- 3.3. ジェストラルのノコ
- 3.4. 白いネヴロン: ディミナー
- 3.5. ルミエランの街並み
- 3.6. 「浮遊する水」後のキャンプ
- 3.6.1. マエル
- 3.6.2. ルネ
- 4. いにしえの聖域
- 5. ジェストラルの村
- 5.1. ゴルグラとの面会
- 5.2. シエルの合流
- 5.3. 合い言葉の取得
- 5.4. 屋敷との接続
- 5.5. 「ジェストラルの村」後のキャンプ
- 5.5.1. シエル
- 5.5.2. ルネ
- 5.5.3. 仲間の様子を確認する
- 5.5.4. 眠る
- 6. エスキエの隠れ家
- 7. 小さなブルジョン
- 8. 岩波の崖
1.
暗き海岸
1.1.
大陸到着と壊滅
第 33 遠征隊は大陸の暗き海岸 (Dark Shores) に上陸した直後、闇の中から「白髪の男」が現われる。この男は遠征隊の服を羽織っており、歳は六十歳前後に見える。これはゴマージュで抹消されずに生き残っていることを意味する。様子がおかしいことに気付いた司令官のアランは隊員たちに構えるように命じるが、直後に首を落とされる。「退却!」の命令からすぐギュスターヴとマエルは閃光を受けて倒れる。
朦朧とする意識の中、ルシアンに助けられ物陰に隠れる。ここでトリスタンが「集合場所で立て直そう。インディゴの木…」と話したところで背後にネヴロンが現われトリスタンは闇の中に連れ去られる。物陰から飛び出すギュスターヴ、ルシアン、マルゴ。薄暗い靄の中でマルゴも連れ去られる。ギュスターヴの前に不気味なネヴロンが立ちはだかり、攻撃される寸前にルシアンに助けられるが、その直後にルシアンも連れ去られる。絶望で立ちすくむギュスターヴはネヴロンの攻撃を受けて意識を失う。
2.
春の牧草地
暖かい陽の差す緑なすこの春の牧草地 (Spring Meadows) は、穏やかな森林の景色とは裏腹に、本作で最初に戦いと喪失を刻む地となる。暗き浜辺での襲撃から生き残った者たちは散り散りとなり、その一人ギュスターヴがここで目を覚ます。
2.1.
ルネとの再会
ギュスターヴは森の中の滝で意識を取り戻す。周囲には誰もいない。彼は単独で春の牧草地を進み、初の実戦チュートリアルでランセリエ (Lancelier) との戦闘を経験する。
朦朧とする意識でさらに進むと、過去の遠征隊の陰惨な襲撃場所に遭遇する。先ほど戦ったランセリエの槍によって多数の隊員の身体が貫かれている。その死体の山には浜辺の襲撃を逃げ延びた 33 の腕章を付けた者も含まれている。おそらく彼らは、襲撃を受けた浜辺から意識のないギュスターヴを引きずってあの滝まで運んだ者たちであり、いよいよ自分の身を守るのが精一杯となって諦めて置いていったのだろう。滝壺にはクロマが落ちていることから、あの場所で息を引き取った者もいたかもしれない。
襲撃場所を過ぎた洞穴はさらに多くの死体で山のようになっており、そこに胸を貫かれたカトリーヌの死体が残されている。ギュスターヴは部隊の壊滅に絶望してその場で自殺しようとする。しかし、そこにルネが現われて思いとどまる。そこに現われたポルティエ (Portier) と初のコンビ戦闘のあと、生き残った仲間がいる希望を持って、集合場所のインディゴの木に向かう。
ルネは著名な研究者の両親を持ち、ペイントレスの謎を解明することに人生を捧げてきた知性派の隊員。遠征のルート策定を担当しており、合理的・任務重視の姿勢を持つ。両親も過去の遠征に参加して消息を絶っており、その行方を知りたいという個人的動機も抱えている。
ルネが加入することで 2 人パーティとなり、戦闘の幅が広がる。ルネは属性魔法系のアタッカーで、蘇生や回復も行うパーティの主力となる。
2.2.
白いネヴロン: ジャー
登山隊の第 69 遠征隊が設置したホールドを登り、トンネルを抜けると、非敵対的な白いネヴロンのジャー (Jar) に遭遇し、その近くに第 81 遠征隊のジャーナルを発見する。遠征隊のジャーナルには「この白いネヴロンと意思疎通ができた」と記されている。
ジャーは光を求めるネヴロンで、「彼女」に光をもたらすために描かれた存在だと自らを語る。サイドクエストの樹脂はこの先にあるが、渡すだけでは一時的にしか光らず完全な解決にはならないので、ジャーの持っている武器にフリーエイム (L2 で照準を定め R2 で発射) を当てて火を入れる必要がある。報酬として「ヒールティントの破片」を入手でき、後に回復アイテムの個数を増加できる。
ジャーの存在は「彼女」と呼ばれる何者かがネヴロンを生み出していることを示唆する。このような白い非敵対的ネヴロンはこの後も何度か現われ、物語のなかでの「彼女」に言及するが、彼女が誰なのか、この時点ではまだプレーヤーには明かされていない。
ここで第 81 遠征隊の亡骸を見ながらギュスターヴは浜辺の襲撃を思い出す。通常、ルミエールでは人が死ぬと体内のクロマが散って消滅するが、大陸でネヴロンに殺されたこれらの亡骸にはクロマが体内に残っており体も霧散していない。しかし浜辺で殺された隊員には消えたものもいる。襲撃者の男はネヴロンではないことにギュスターヴが気付く。
2.3.
マエル捜索の手がかり
白いジャーを進んだ先で信号弾を見かける。ギュスターヴとルネは生き残った隊員がインディゴの木にいるはずだと先を急ぐ。しかし生き残りだったレオがエリアボスのイヴェキ (Eveque) に殺され、インディゴの木では遠征隊ではない何者かが残した「マエルは奇妙なサンゴへ連れて行った、北へ向かい小屋の中の扉を探せ」という内容のメッセージを発見する。論理と任務遂行を重視する合理主義者のルネは罠を警戒し、プロトコル通り集合地点で 3 日間待つべきだと主張する。しかし家族の感情と信念で動くギュスターヴはマエル救出を優先してすぐに向かうことを選ぶ。最終的にルネも渋々同行する。
インディゴの木を先に進むと春の牧草地を抜けて大陸のワールドマップに出る。ここからは各エリアをつなぐフィールドを歩き回れるようになり、寄り道やサイドコンテンツも出現し始める。
2.4.
「春の牧草地」後のキャンプ
ワールドマップ上では十字キーの ↓ でキャンプに入ることができる。Expedition 33 でのキャンプは、回復やビルド変更を行うだけでなく、ストーリー進行とは別軸で各キャラクターの動機や喪失、深遠と言った内面が断片的に開示される場で、プレーヤーがこの世界に深く感情移入するための重要な役割となっている。
浜辺での全滅からまだ間もない最初のキャンプでは、マエルの救助を急ごうとするギュスターヴと、任務遂行を優先するルネが衝突する。任務を「クソ食らえ」と一度は吐き捨てながら最後に「すまない」と引き返すギュスターヴの揺れは、マエルを守るという私的な誓いと、ルミエールの未来への公的な責任の間の振動という、Act I 全体で彼を駆動する心境を描写している。
キャンプでの会話
2.4.1. ルネ
ギュスターヴ「さっきはすまない。浜辺でのことは、君のせいでは…」ルネ「私のせいよ。あそこに上陸しようと、私がアランに言った。」「ええと… 少し休んでもいいが、月が明るい。このまま進まないか。」「浜辺で何も学ばなかったの?」「必要以上にマエルを一人きりにしたくない。」「だけど今は私たち二人しかいない。マエルを貴方の亡骸と会わせたくないわ。慎重に行動しないと。浜辺の男がやったことを見たでしょう。だけどそれ以上に… あの顔を見たでしょう。恐らく年齢は50か60よ。おまけに抹消を生き延びている。私たちには相手の情報がない。一瞬で全員を失って…」「その通りだ。奴は僕たち全員を簡単に殺した。メッセージを偽装する必要なんてない。ルシアン… ルシアンは、ぼくを助けて死んだ。それに、それにトリスタン、マルゴ、みんな… マエルをここで死なせない。あの子は家へ連れて帰る。」「え?ダメよ、何を言っているの。私たちには任務が…」「任務なんてクソ食らえだ!君には任務しか頭にないのか。これからどうするというんだ?教えてくれ。どうするつもりなんだ?たった3人でペイントレスと戦うというのか?僕の… 銃と… 君の花火で?」「貴方がまさかこんな臆病者とはね。」「僕は臆病者じゃない。」「誓ったでしょう。“仲間を失っても、私たちは進む”。」「ああ、分かってる。」「“仲間を失っても” よ。もしもの話じゃない。全員が生き残れないのは承知の上だった。だけど “私たちは進む” の。一人でも立っている限り、私たちの戦いは終わっていない。」「僕が恐れているのは戦いじゃない。ただ、マエルが…」「マエルも同じ宣誓をしたのよ。」「分かってるさ!」「彼女は自分で人生を決めたの!貴方と私は… ねえ… いつも言っていた。ルミエールの未来は…」「この人生よりも重要。」「そうよ。まだそう信じている?まだそう思っている?どうなの?」「そうであることを願うよ。」「“任務なんてクソ食らえ” って本気?」「すまない。」
3.
浮遊する水
春の牧草地からマップをまっすぐ進むと浮遊する水 (Flying Waters) の入口がある。ここは海底を歩く幻想的なエリア。色鮮やかなサンゴや海洋生物の残骸の中を進む。
進入直後、ギュスターヴとルネは第 68 遠征隊の亡骸を発見する。沈んだ船と共に、過去の遠征隊がここまで到達していたことが分かる。ジャーナルも回収でき、過去の遠征の断片的な記録が蓄積されていく。
3.1.
屋敷
浮遊する水の奥で小屋を発見する。小屋のドアを通ると屋敷 (The Manor) に転送される。屋敷は広大で、大半のドアは施錠されているが、開いている部屋の一つでマエルと再会する。これによりパーティにマエルが加入し 3 人となる。
イースターエッグ屋敷を入って左側の階段を 3 階まで上がったところにある左側に額縁にはジャンプして入ることができる。ここで「生命のシェイプ」を入手できるほか、Sandfall の Expedition 33 開発チームが飼っていた犬「モノコ」の絵を見ることができる。
3.2.
キュレーター
マエルは、浜辺での襲撃後にこの屋敷で目を覚ましたと語る。そのとき、扉の外にキュレーター (The Curator) が現われる。キュレーターの顔は大きく陥没していて不気味な外見だが、この屋敷で自分の世話をしてピクトスも強化してくれたとマエルは言う。キュレーターは何も話さないが、ネヴロンとは全く違う存在で、どうやら味方らしいとルネたちは考える。
屋敷を出ようとするとキュレーターが出口を塞ぎマエルを訓練に誘う。この戦闘はジャンプ回避のチュートリアルを兼ねている。同時にマエルのスタンスシステム (防御 / 攻撃 / 名手) のチュートリアルでもある。
戦闘後、キュレーターはマエルの誘いでキャンプに合流する。以降、キュレーターはキャンプにいる NPC として、武器のレベル上げ、「ルミナのカラー」を使ったルミナポイント増幅、ティントの強化の 3 種類の育成機能を提供する。キュレーターの正体はこの時点では不明だが、ただの脇役ではないことは明らかだろう。
3.3.
ジェストラルのノコ
浮遊する水に戻ると、ジェストラルのノコ (Noco) が現われて会話イベントが発生する。ノコはルネが初めて出会う本物のジェストラルで、ルネは目を輝かせて興奮する。ルネの両親は研究者で、文献上の知識としてジェストラルを知ってはいたが、実物を見るのは初めて。普段は冷静で任務重視のルネだが、学者としての純粋な知的好奇心に駆られていた描写であり、彼女の行動原理が「使命感」だけでなく「知への渇望」にも深く根ざしていることが伝わる。ノコはペイントレスのもとへ行くには更にもう一つ海を渡る必要があり、そのためには自分の村の族長ゴルグラ (Golgra) の助けが要ると教えてくれる。普段から隊の規律を重んじインディゴの木へ引き返すはずのルネは、ジェストラルの村に行けると知って無邪気に喜んでいる。
ノコはパーティが最初に出会うジェストラルの商人でもある。ジェストラルの商人は大陸の各地におり、クロマと引き換えに商品を売ってくれる。さらに 1 対 1 の決闘に勝つと隠し商品がアンロックされる。
ジェストラル (Gestral) は大陸に棲む非人間の種族。ペイントレスの抹消の影響を受けず、独自の言語と文化を持ち、村を外部から隠すために迷路状の聖域を築くほどの知性と文明がある。ルミエールの人間にとっては伝説的な存在だが、大陸に渡った遠征隊にとっては商人として物資を提供してくれたり、旅の協力者になったりする実在の種族として関わることになる。
3.4.
白いネヴロン: ディミナー
浮遊する水の脇道で白いネヴロンのディミナー (Demineur) が佇んでいる。ダッシュ + ジャンプで到達可能な近くの場所で「無傷の機雷」が入手でき、それを渡すと報酬としてルネの武器「ディミナイム」が手に入る。寡黙だが何らかの意思はあるようで、白いジャーと同様にすべてのネヴロンが敵ではないことが繰り返し示される。
3.5.
ルミエランの街並み
第 68 遠征隊の沈んだ船を過ぎ、サンゴの洞窟を抜けると、ルミエランの街並み (Lumièran Streets) に出る。海底に置かれたルミエール風の街区で、崩壊前に大陸にいた人々がここに都市を作っていたことを暗示する不思議な場所。
浮遊する水エリアの最深部、花畑 (Flower Field) に咲く一輪の花を見てギュスターヴはソフィーを思い出す。ギュスターヴが花を摘み取ると、エリアボス、ゴブル (Goblu) が現われる。長い赤毛の中心に三つのマスクをあしらった、ずんぐりとした体躯のネヴロンで、周囲に花を生やしてそれをシールド生成として利用する特技を持つ。
戦闘が終わってギュスターヴがとどめを刺そうとすると、この生き物はただ花を守っていただけだと気付いたルネがそれを制止する。マエルがゴブルに歩み寄り、触れようとした瞬間、ゴブルはその場から飛び去る。マエルは「なんだか身近に感じて」と漏らし、ルネは「動くものを全部殺していたら状況を把握できない」とたしなめる。
3.6.
「浮遊する水」後のキャンプ
ゴブルを撃破し出口を抜けると、直後にマエルの悪夢のカットシーンが始まる。殺された男性隊員に女性隊員 (ジュリー) が駆け寄り、殺したと思われる別の男性隊員 (ヴェルソ) がゆっくり振り返る。男に剣を構える女性隊員の腕章には “0” の文字が記されている。その後、マエルが (シエルのヘアスカーフに似た) タスキ状のものを握りしめながら 33 と描かれたモノリスに向かって叫んで終わる。
マエルはルミエールにいた頃からよく変な夢を見ると言っており、この夢の前後自体には深いつながりはないかもしれない。しかし、前半は第 0 遠征隊で起きた実際の事件が何らかの形でマエルの夢に現われたようである。このシーンはストーリー後半に語られるサブストーリーの映像にあたる。
悪夢の後、キャンプに自動転送される。先ほど屋敷を去ったキュレーターが約束通りキャンプに来ており、ここで武器とルミナポイント、ティントのアップグレード機能が正式にアンロックされる。
浜辺での壊滅から時間が経ち、マエルの発見に成功したこのキャンプでは、三人の落ち着いた会話が交わされる。マエルはルミエールでの予測可能な抹消による死と、大陸で目にした暴力的な死の違いを口にしながら、ギュスターヴとは「白髪の男を見たら逃げる」と約束する。マエルは「ギュスターヴはおっさんだから私の方が速い」と軽口を叩く。
ルネは久しぶりにギターを手にして演奏する。キュレーターやジェストラルとの遭遇などを経験して「私たちはほとんど何も知らない」という知識の敗北を受け入れた上で「次の世代に謎を解き明かすチャンスを残す」という任務をギュスターヴと共有する。最初のキャンプで衝突した「私的な愛 vs 公的な義務」の対立は、ここで「進むことこそが彼らへの弔いの形である」という暗黙の合意となり、出航時の合い言葉「明日は来る」が二人の口から再び発せられる。
キャンプでの会話
3.6.1. マエル
モノリスに向かって石を投げるギュスターヴ「まだまだ遠いな…」マエル「こんなの想定外だよ。」「想定通りだな。大丈夫かい?」「ここでの死はルミエールでの死とは違う、でしょ?わたしは… その、人を失うことに慣れたと思ってた。里子生活でね。だけど… そんなのと違って… 浜辺の… あの人…」「ああ… 分かるよ… ネヴロンの備えはできていた。だが… おまけに、ようやく見つけた他の生存者は… それが… 抹消の陰湿なところだよ。予想できるんだ。優しくすらある。それでルミエールは頓着せず受け入れられるが… 抹消は等しく暴力であり死だ… 死ねば終わりだ。ずっと悪夢を見てるんだ。ああ、僕もだ… なあ、死が近付いているなら、僕は君に逃げてほしい。いいや、違うな。約束してくれ。逃げると。特に浜辺の男と会ったら必ず。奴には歯が立たない。奴を見たら逃げるんだ。」「ギュスターヴも逃げるならね。」「おっと、僕は白髪一本でも目に入ったらすぐに逃げるよ。絶対にね。その速さといったら、早すぎて目で追えないくらいだろうな。」「冗談でしょ。おっさんのくせに。走るのは私の方が速いよ…」「まあね… 30歳が若者に入る時代もあったんだぞ…」「ふーん…」
3.6.2. ルネ
ギュスターヴ「君が演奏するのを見たのは久しぶりだ。」ルネ「ジェストラルの村…」「ああ。そんなものが存在するとはね。他にも実話のおとぎ話があるんだろうか?」「結局のところ、これは情報戦ね。だけど私たちが理解するには度を超えている。ペイントレスはどこから来たの?その行動の理由は?何者なの?70年経っても、私たちが分かっていることはほとんどない。」「それに浜辺の男だ。ああ、分からないことが多すぎる。だが、もし僕たちがペイントレスを倒したら、少なくとも次世代に、謎を解き明かすチャンスをやれる。」「マシになったみたいね… 前より。」「うん?落ち着いて見える?」「うん。」「ショックが薄れたんだ。少しだけね。誰も連れ戻せない。だが、前に進むことで彼らの意思を生かし続けられる。少なくとも、ここには3人いるしね。任務は変わらない。」「明日は来るわ。」「明日は来る。」
4.
いにしえの聖域
いにしえの聖域 (Ancient Sanctuary) はジェストラルたちが自分たちの村を外部から隠すために作った迷路のような場所。分岐する道や仕掛けがあり、ジェストラルという種族が知性的で組織化された文明を持つ存在であることが実感として伝わってくるエリア。ここの敵は死に際に「突撃」をして全員にダメージを与えてくるのでうまく回避する必要がある。
いにしえの聖域ではひっそりと佇む「幼い少年」と初めて遭遇する。このような消えゆく人物は今後のストーリーでも何度か現われ、物語の背景を散発的に語りながら最後に沈黙する。その正体は物語の最後で判明するため、彼らの話は世界の秘密が明らかになった 2 周目向けの内容である。
パーティが第 33 遠征隊と認識した彼は、かつてこの場所をかつては遠征隊、創造物、ジェストラルたちが通る「喜びの場所」だったことを懐かしむ。しかし、誰かの名前を呼びかけようとして詰まり、自分が何もかも忘れつつあることを告げて沈黙する。
幼い少年の会話
幼い少年「また遠征隊… 33…」他にも誰かここを通った?「遠征隊、創造物、ジェストラル… 昔みんなここを通った。喜びの場所… 恋しいよ… みんなと笑っていた頃が…」何の話?「ル… クレ… なんて名前だったかな?おれ… なんで忘れ… 何もかも… 洗い流される…」少年は黙り込んだ。
5.
ジェストラルの村
いにしえの聖域を抜けたパーティはジェストラルの村 (Gestral Village) に到着する。
プロローグの祭典で「奇妙なピクトス」を入手している場合、村の商人のジュジュブリーに渡すと「強力エイム」のピクトスに変えてくれる。
5.1.
ゴルグラとの面会
村の中央にある族長の家に入ると村長のゴルグラ (Golgra) と面会できる。
第 33 遠征隊を襲撃した「白髪の男」は、過去にもこのジェストラルの村を襲撃したことがある。つまりあの男はジェストラルにとっても敵であり、大陸を横断的に活動している。
海を渡るにはエスキエ (Esquie) の助けが要る。エスキエは伝説的な存在だが、訪問者をうっかり食べてしまうことがあるため、強さが認められたものでなければ会わせるわけにはゆかない。そのため、ジェストラルの「レジェンダリー・トーナメント」に勝利し合い言葉を得る必要がある。
レジェンダリー・トーナメントはパーティから一人を選択して挑む対戦だが、マエルで勝利するとマエルの武器「メダルウム」が入手できる。この武器はマエルの最強候補で、育成して終盤まで末永く使える。トーナメント後でもゴルグラに挑戦して入手できるが、ゴルグラはストーリー終盤クラスの強敵なので、できればこのレジェンダリー・トーナメントで入手しておきたい。
5.2.
シエルの合流
トーナメント最終戦の相手にシエル (Sciel) が登場する。彼女はジェストラルの村にいた「よそ者 (Stranger)」で、トーナメントの対戦相手として戦った後、パーティーに加入する。これで 4 人目のメンバーとなる。
シエルはプロローグの祭典にいた第 33 遠征隊の隊員。浜辺の襲撃を生き延び、黄色い森を抜けてここまでたどり着いたと言う。温かく包容力のある性格で、チームの精神的支えとなってゆく人物。夫と子供を失った過去を抱えており、それが自分を犠牲にしてでも他者を支えようとする行動原理につながっている。
彼女は戦闘面で Sun と Moon のカードシステムを持つ。スキル使用時に Sun または Moon のカードが付与され、カードの組み合わせによって次のスキルの効果が変化する。バッファー兼ヒーラーの役割を担いやすいが、攻撃もこなせる柔軟なキャラ。
なお、トーナメント最終戦でシエルが勝った場合、シエルの武器「ヘヴァソン」が手に入る。
5.3.
合い言葉の取得
トーナメントに勝利してゴルグラに報告すると、エスキエの隠れ家に入るための合い言葉 "Get outta my way!" (道を空けろ!) を教えてもらえる。この合い言葉の脱力感はエスキエのキャラクターを予言している。
5.4.
屋敷との接続
村の中に "Turn Back" (引き返せ) と書かれた看板のある道があり、その先にジェストラルの作業員が立っている扉がある。この扉を通ると屋敷のキッチンに転送される。
キッチンの正面の扉は施錠されているが、部屋の中にある 3 つのオブジェクト (窓際のテーブルの小さな燭台、壁に掛かったフライパン (中央のもの)、隅の高い台の上の胸像) をそれぞれ操作すると、樽の横のトラップドアが開く。地下に降りると「エナジーのシェイプ」と、壁の箱を壊して這って入った先にマエルの「レベリアス (コスチュームの髪型)」がある。さらに階段を上るとキッチンの施錠されていたドアを内側から開けられ、ショートカットが繋がる。
イースターエッグこの地下室には Sandfall の Expedition 33 開発チーム、および彼らの愛犬モノコの絵画が置かれている。
この世界では、大陸の各所に屋敷の扉が点在しており、一つの巨大な屋敷の異なる部屋にそれぞれ繋がっている (ただしファストトラベルの機能ではなく、出口を出ると入った扉の場所に転送される)。浮遊する水のノコの小屋から入った時はエントリーホールとダイニングだけだったが、ジェストラルの村からはキッチンに繋がる。今後も大陸の各所で新しい扉が見つかるたびに屋敷の未踏の部屋が解放されていき、この屋敷の全容が徐々に明らかになる。この謎深い屋敷の正体はストーリー終盤で明かされる。
5.5.
「ジェストラルの村」後のキャンプ
ジェストラルの村を出ると再び悪夢のカットシーンが入る。浜辺で遠征隊を壊滅させた「白髪の男」と、アリシア (Alicia) と呼ばれる「仮面を着けた少女」がマエルの前に現れる。アリシアはマエルを非難するように指さす。白髪の男はアリシアを庇いつつ、マエルに「お前は来るべきではなかった」「責任はお前にある」「家に帰り、仲間と最期の一年を穏やかに過ごせ」と告げる。この世界の核心に触れる警告でありながら、今のマエルにはその意味が掴めない。
周囲の世界が動き出し、マエルの様子がおかしいことに気付く仲間たち。ルネは情報を引き出そうとし、ギュスターヴはひとまず彼女を落ち着かせようとする。三人の反応の温度差まで含めて印象的なシーンとなる。
マエルの悪夢とキャンプの会話
5.5.1. シエル
「まだ信じらんないよ。しばらく希望を失っていたのに、あんたたちみんな生きてた。」「僕たちが死んでたら、そうするつもりだったんだ?抹消されるまで、ジェストラルの英雄になっていた?」「まあ、かなり楽しかったからね、そうかも?」
5.5.2. ルネ
「ノコは貴方の腕にかなり夢中ね。お弟子さんたちは大喜びするでしょう。自分たちの仕事をジェストラルが気に入ったと知ったら。」「ああ、熱狂的に興奮するだろうね。」「素晴らしい設計だわ。彼らにとても独創的な課題を与えたのね。」「まあ、人生に辛いことがあっても…」「腕を失うことは、かなり辛いわね。」「ああ、いいことではないよ。」「[笑う]」
5.5.3. 仲間の様子を確認する
一人佇むシエルに近付いて隣に座るギュスターヴ「大丈夫かい?村を出てから静かだが。」「うん。ごめん。ただ… 嫌な記憶がね。」「聞こうか?」「いいかな。」「あー、いや…」「あんたがいてくれてよかった。」「僕はアクアファーム3の仲間を見捨てない。」「アクアファーム3か。ずいぶん昔の話だね。」「あんたとソフィーはあのプロジェクトでべったりだった。」「そうだね。」「良いプロジェクトだったよ。一度に大勢のご近所さんを食べさせてさ。振り返ってみると、なんか懐かしいね。変化をもたらしてるって本気で思ってた。」「今も変化をもたらしているところじゃないか。」「うん、そうだね!」「そうさ。」
5.5.4. 眠る
シエル「信じられないよ。あのエスキエに会えるなんて。」ルネ「ジェストラルにエスキエ。あの物語は真実だった!」マエル「ねえ、何か…」画面がモノクロームに展示、マエル以外の仲間の動きが止まる。
マエルの前に現れる仮面の少女。マエル「白髪… あなたは誰?」仮面の少女はマエルを見ながらゆっくりと近づく。手を伸ばし、マエルの顔に触れようとしたそのとき、白髪の男が現れる。「アリシア。家にいろと言っただろう。これを見るのは毒だ。」白髪の男に向かってアリシアはマエルを指さすそぶりをする。白髪の男「ああ。そうだ、分かっている。責任は彼女にあるのに、知りもしない。だが、お前はここにいては駄目だ。」マエル「なんの話?私の責任って!?なんなの、これ!?」白髪の男「お前は来るべきではなかった。状況が悪化するだけだ。みなにとって。さあ、友人を連れて家に帰れ。最期の一年を穏やかに過ごさせてやれ。警告はこれきりだ。」思わず剣を振るマエル。その瞬間、色彩のある世界に戻る。
シエル「楽しみだよ、早く…」マエルの様子がおかしいことに気づく仲間たち。ギュスターヴ「マエル?おい、しっかり…」マエル「あいつだった!あいつを見た!白髪の男… それにあの女…」周りを見渡して警戒するギュスターヴ「待… どこに… 何を言っているんだ?」ルネ「マエル、深呼吸を。落ち着いて。何を見たの?よく思い出して。どんな情報も重要でしょうから。」マエル「言われたんだ… わたしたちは… 帰らないといけないって。それに… わたしに責任が…?わたしが… 状況を… 悪化させてるって。みんなにとって。みんなは… 固まってて、わたしには… 起きているのに悪夢を見ているみたいだった。」取り乱すマエル。ギュスターヴ「大丈夫、大丈夫だ、もう終わったよ。」ルネ「他には?女がいたといったわよね?」シエル「ルネ、後でもいいでしょ。」マエル「あの女は… 仮面をつけてて… それで…」ルネ「辛いのは分かるけど、話してもらわないと。記憶が鮮明なうちに。」ギュスターヴ「ルネ。明日にしよう。ほら、深呼吸して。僕の声を聞くんだ。君は安全だ。分かるか?もう終わったんだ。」
6.
エスキエの隠れ家
エスキエの隠れ家 (Esquie's Nest) の入口にいるジェストラルの門番サンニーソ (Sunniso) に合い言葉「道を空けろ!」と叫ぶとサンニーソが動揺する。ゴルグラはサンニーソに合い言葉を教えていなかったらしい。コミカルなやり取りの後、道を通してもらえる。
洞窟を進むと広大な地底空間に出る。ランタンの灯る開けた場所の左側に飛び降りるとペタンク (Petank)、右側に飛び降りると物のまね師 (Mime) と青いキノコがある。青いキノコはジェストラルの村のカラトムに頼まれたクエストアイテムである。ストーリーが進行し Act II に入ると渡せなくなるので、洞窟を出たら村にも寄ろう。
6.1.
エスキエとの対面
洞窟の奥、階段状の広場を上った先でエスキエと初対面する。エスキエは、ルミエールの子供たちが寝物語で聞いて育った伝説上の存在。空を飛び、海を潜り、世界最強の力を持つとされるが、実際に会ったエスキエはその伝説とは著しくかけ離れている。陽気で怠惰で、岩に名前をつけてペットと呼び、宿敵と称するフランソワとの確執も岩の取り合い。パーティの面々が期待していた「偉大な救世主」とは程遠い。終盤では腹にワインを隠し持っていることも分かる。この世界では、物語や伝説が語るほど物事は単純ではなく、実態は常にもっと複雑で、もっと人間臭い (エスキエは人間ではないが)。
エスキエがパーティと初対面する場面で、シエルに向かって「また会ったね、カナヅチの友よ (🇫🇷 mon amie la terrible nageuse / 🇬🇧 my terrible swim friend)」と呼びかけ、シエルは困惑した顔をする。この一言は、シエルとエスキエは過去にどこかで出会ってることを示唆している。また、エスキエは大陸の状況をそれなりに把握している (少なくともルミエールの人間と接触する機会があった) ことも分かる。さらに、シエルが泳げないという個人的な弱みをエスキエが無邪気に暴露してしまうという、エスキエの空気を読まない天然さを描いている。
エスキエは石 (🇫🇷 Pierre / 🇬🇧 Stone, Rock) をペット (友だち) として収集しており、「転がる石はコケを集めない (🇫🇷 Pierre qui roule n'amasse pas mousse / 🇬🇧 A rolling stone gathers no moss)」、「私の岩の一つだ! (🇫🇷 Une de mes pierres! / 🇬🇧 One of my rocks!)」とペットの石についての愛に言及する。これら自体はシエルの過去と直接結びつくものではないが、後に二人に隠れた重ね合わせが仕組まれていることが見えてくる。
エスキエは、君たちを乗せて海を泳いで渡るには大切なペットのフローリー (Florrie) が必要だと伝え、そのフローリーは宿敵フランソワ (François) に盗まれていて取り返してほしいと依頼する。
エスキエとの会話
ルネ「ふむ、エスキエはいな…」エスキエ「ほおおおおおおお!ボンジュール、ご友人!」シエル「どうも!ボンジュール。」ルネ「シエル。」シエル「何?なんかいい奴そうじゃない。」エスキエ「おや!君か!また会ったね、カナヅチの友よ。ようやく泳ぎ方を学びに来たのか!」シエル「違うけど?ええと。あたしは… あんまり水が好きじゃないし。」ギュスターヴ「ええと、実際、僕たちがここにいる理由と関係があるんだ。僕たちは海を渡らなくちゃいけない。ゴルグラから君が手伝ってくれると聞いたが?」エスキエ「友よ!“転がる石はコケを集めない”。」ルネ「今なんて?」シエル「物語の中では、エスキエは謎かけみたいな喋り方してたよね。」エスキエ「どういう風に?」ギュスターヴ「分からない。」エスキエ「おーやおや!」ルネ「私たちは本当に海を渡らなくてはならないの。手を貸してもらえないかしら?」エスキエ「ふーむ。運ぶには人数が多い。私は強い。でもそんなに強くない。フローリーが必要だろう。」シエル「フローリーって誰?」エスキエ「私の岩の一つだ。」マエル「岩?」エスキエ「そう、フローリーのおかげで私は泳げる。だがフローリーは我が宿敵に盗まれたのだ!その者が一歩進むたびに世界の礎が揺れる!その名は… フランソワ。」ルネ「分かった。」ギュスターヴ「当てようか。フランソワはネヴロンだらけの縄張りの奥地にいるんだろう?」エスキエ「ん、いいや、隣に住んでいる。あそこだ!」ギュスターヴ「おっと。」エスキエ「フランソワはご近所さんだ。」ギュスターヴ「分かったよ… それじゃ、調べ…」エスキエ「スーバラシイ!幸運を祈る、友よ!フローリーを連れ戻してくれ!」シエル「あたしを知ってるみたいね。」エスキエ「うむ。」シエル「なんで…?あたしは分から…」エスキエ「“山につまずかぬ者、石に行き当たる”。」シエル「オーケー…」
6.2.
フランソワ戦とフローリーの顛末
エスキエのいる場所を少し進むとフランソワがいる (二人は同じ洞窟の中で生活している)。フランソワは亀の形をした岩で、5 枚のシールドを持ち、即死級の魔法攻撃を繰り出してくる。回避とパリィが必須な厳しい戦いを強いられる。
フランソワを倒して岩を持ち帰ると、エスキエはそれが本物のフローリーではないと言う。またここではエスキエから「親友ヴェルソといつも飛び回っていた」とヴェルソの名前が出る。この一連のやり取りは表面的にはコミカルだが、エスキエにとって岩が単なる無機物ではなく、かけがえのない存在であることを描写している。
結局、フローリーは岩波の崖 (Stone Wave Cliffs) にあるとフランソワに言われ、エスキエはパーティに同行することになる。彼が仲間になる理由は明確な契約や恩義ではなく、もっと曖昧で気まぐれな気分。それ自体がエスキエというキャラクターの性格を表している。エスキエはワールドマップにおける移動手段であると同時に、パーティ内での感情面での支えとしても影響を与えていくキャラクターである。
これ以降、エスキエに乗ってワールドマップ上の岩場を突破できるようになり、それまで見えていたが行けなかったいくつかの場所への寄り道が可能になる。ストーリーの本筋は北の「岩波の崖」へ向かう。
6.3.
「エスキエの隠れ家」後のキャンプ
エスキエの隠れ家を出ると、再びモノクロームのカットシーンが始まる。ただし、これはマエルの悪夢としてではなく、カットとして挿入されるだけ。まず、ねじれ塔のろうそくに灯のともったショートケーキ (プロローグの祭典にも並べられていたもの) を持つマエルと、それを取り囲む人々。背景には 33 と描かれたモノリスとペイントレスが見え、マエルの周りの人々が消える。次に、最初の悪夢の続き。男性隊員が女性隊員を剣で貫いている。女を地面に横たえ、遠景には 100 と描かれたモノリスを見ながらアリシアと呼ばれた仮面の少女の肩を取る。最期に、屋敷の中で火に囲まれて立ち、手を差し出す男性。
マエルがルミエールに居場所を感じなかった理由、ペイントレス、謎の屋敷、そして白髪の男女 —— すべてが一つの答えに向かって収束しつつあるが、まだ核心には届かない。
カットシーンが終わるとキャンプに入る。パーティに参加したエスキエとの会話の端々から、エスキエがかつて人間の友人を持っていたことが示唆される。そしてルネは、何世紀もの記憶を持つ伝説の生物が目の前にいるのだから、研究者として黙っていられるはずがない。期待通りエスキエへの質問攻めを実行に移している。
このキャンプでは、エスキエの合流がもたらす希望、その裏にある世界の歴史、マエルの悪夢が示すまだ見えない物語の核心、そしてルネの知的探究が、ペイントレスの謎の解明に向けて動き始めることを感じさせる。旅は前に進んでいるが、答えに近づくほど新たな問いが増えていく。
キャンプの会話
湖に向かって石を投げるマエルと、マエルに近付くギュスターヴ。マエル「石投げが好きな理由が分かる。」ギュスターヴ「あの二人を見てから静かだな。」「わたしのことを知っている感じだった。本当に私のことを知っている、みたいな。何がどうなってるんだろう。それに、わたしはまるで… 全然理解できなかったけど、他のみんなにはある何かが、いつも欠けてる気分。ルミエールでは人生に意味がなくて、合わなくて、今ここにいて、気分がいいかもって思い始めた途端に、こんな… こんなことになってて…」「ああ、僕も嫌だよ。理解できない状況というのは。自分がちっぽけで無力に感じるんだ。だけど、理解できる状況に集中するといい。効果があるぞ。大事な人たちのことだけ考えればいい。それに、まあ、僕は少し気分が楽になったよ。途方に暮れているのはみんな一緒だからね。」笑い出すマエル。「何?よせよ。陳腐すぎる?いやぁ。気休めになるか分からないが、僕が16の頃はもっと迷っていたよ。」「それ、女の子たちのことしか考えていなかったって聞いた。」「ああ。けど聞いてくれよ、その子たちは僕なんて眼中になかったんだ。ちっとも。」「だろうね。」「ああ。」「僕に話してくれていいんだよ。家族なんだから。少なくとも書類上ではそうなってる。」「まあ、書類上ではわたしたちは死んだことになってるかもしれないから…」「ああ。多分ね。おお、いい腕だ。」「でしょ。」「生意気を言うなと言ったが、今のは… よかったよ。」「ギュスターヴにはいろいろ教わったよ。違うか。」
7.
小さなブルジョン
7.1.
白いネヴロン: ブルジョン
小さなブルジョン (Small Bourgeon) は、大きなブルジョンの死骸の下に佇む白い小さなネヴロンが住む場所。この小さなブルジョンは「大きくなってご主人様 (Mistress; 女主人) に会いたい」と語り、そのために同族のブルジョンの皮を求める。
皮を与えてエリアを出入りすると、小さかったブルジョンは巨大に成長し、お礼として「ルミナのカラー」を吐き出してくれる。ジャーが「光をもたらすため」に描かれ光を求めていたように、このブルジョンも「彼女」に描かれた存在として「女主人のもとへ行きたい」という一途な願いを持っている。敵として戦うブルジョンと同じ種でありながら、白い個体は敵意を持たず、ただ「彼女」への帰属意識だけを持っている。
この白いブルジョンは「ごしゅじんさま (Mistress)」だけでなく「せっしょう (Regent)」と奇妙な言葉も使う。自分を「描いた」ご主人様 (Mistress) と、それとは別に自分を「世話し」空から見守る摂政 (Regent) とを別の存在として語り、主を感じて空を見上げても、そこに居るのは真の主ではなくその代理であることを、うっすらと感じ取っている。このせっしょうという一語は、ネヴロンの背景にある何らかの代理構造を示している。
小さなブルジョンの会話
Bourgeon “Mmm...” “So, aren't you going to see your Mistress?” “Me. Felt Mistress. But... What I see... Up... Not Mistress... Regent. ...” “Regent? Who is this Regent?” “Mistress. Paints us. Regent. Tends us. She watches... Threre. Sky...”
8.
岩波の崖
岩波の崖 (Stone Wave Cliffs) は海に面した柱状節理の断崖と潮の洞窟で構成されたエリアで、過去の遠征隊 (第 78, 50, 56 遠征隊など) のジャーナルや遺体が多数見つかる。ここまで辿り着いた遠征隊が過去に複数あったことが分かるが、いずれも帰還できなかった。
8.1.
廃墟の観覧車とエスキエの一撃
岩波の崖に入って最初に目に飛び込むのは、傾いた巨大な観覧車と、ベル・エポック風の瓦礫が浮遊する廃墟の光景。シエルはかつてのデートスポットだろうと軽口を叩くが、ギュスターヴはこれが第 50 遠征隊の遺構だろうと不自然な分析を口にする。プロローグでマエルと屋根の上を走るシーンで遠くに観覧車が見えるため、ギュスターヴはこれが何かを知っているはず。しかし、彼はソフィーを抹消で失ったばかりであり、恋愛的な文脈に踏み込む余裕がないのだろう。
そこにエスキエが飛来し、フローリーの気配を感じ取ったと告げる。飛べるなら自分で取りに来ればいいというマエルの至極もっともな指摘を「大変すぎる」と退けた直後、進路上の巨大ネヴロンを一撃で粉砕して飛び去ってしまう。パーティが呆然とする中でシエルが端的に「強いけど怠け者」と総括するこの場面は、圧倒的な力を持ちながら自分のためには使わず無邪気に振るうというエスキエの性格を最も簡潔かつコメディに示している。同時に「伝説は実態と一致しないが、伝説以上の何かが別の形で存在している」というこの作品の雰囲気が、ここでもまた軽妙に描かれている。
8.2.
ペイントレスの祭壇
岩波の崖を下ったところにはペイントレスの祭壇が存在し、何者かがペイントレスを崇拝していた形跡が残っている。ルミエールでもペイントレスを崇拝している者がいたし、過去の遠征者の中にはそのような思想の者、あるいは抹消が目前に迫って超常的な現象にすがろうとした者が居たのかもしれない。この石像は R1 で破壊してスッキリすることができる。
ペイントレスの祭壇での会話
ルネ「ペイントレスの祭壇ね。」ギュスターヴ「ペイントレスは僕たちの世界を壊した。誰が彼女の祭壇なんて建てたんだ?」ルネ「意志の弱い者は、未知を説明するのに手段を選ばないのよ。」シエル「理解できない力に翻弄されたら、何でも試そうとするかもね。」
シエル「スッキリ。」ルネ「用が済んだら出発しましょう。」
8.3.
白いネヴロン: エクスギャ
白いネヴロンのエクスギャ (Hexga) が崖に埋まっており、近くの洞窟から岩の結晶を 3 つ集めて渡すサイドクエストがある。ジャー、ディミナー、小さなブルジョンに続く 4 体目の白いネヴロンで、いずれも「彼女」に描かれた不完全な存在が助けを求め、応えると報酬をくれるという構造を繰り返している。
白いエクスギャは「あるじ」を信望していた。パーティは先にあったペイントレスの祭壇を作った者について聞くが、昔に来た人が作ったものでもう生きていない、あるじを信望していたがエクスギャのあるじとは違う、と答える。つまり白いネヴロンの言う「彼女」はペイントレスではないこと示唆しつつある。
8.4.
ランプマスター戦
岩波の崖の最深部で灯されてゆくランプの先に、不気味な造形のエリアボスのランプマスター (Lampmaster) が出現する。背に複数のランプを備え、多数の腕を持つネヴロンで、大型剣を振るう接近攻撃と、ランプの灯火を蓄えて放つ遠隔攻撃を主体に強力な攻撃を繰り出してくる。弱点属性を持たず、光属性に耐性があり、本体から伸びる長い腕と触手への攻撃が弱点となる。
ランプマスターを倒すと、パーティはエスキエのペットのフローリーを回収する。これによりエスキエは海を泳いで渡る能力を獲得し、ワールドマップ上で水域を越えられるようになる。
8.5.
白髪の男の襲撃とギュスターヴの死
エスキエはフローリーを飲み込んで泳ぐ能力を回復し、ルネとシエルは崖から飛び降りて海に浮かぶエスキエに乗る。ギュスターヴとマエルは崖上に残り、これからの旅の続きへの前置きとしてモノリスに向かって石を投げ始める。
その背後から「白髪の男」が現われる。閃光がギュスターヴの体を貫き、同時にマエルがシールドバリアのようなもので閉じ込められる。ギュスターヴは白髪の男に向かい「なぜこんなことを」「彼女は見逃してくれ」と言いながら戦いを挑むが、ダメージを与えられない。海上のルネとシエルも崖上の異変に気付くが、直後、再浮上したランプマスターに阻まれ戻ることができない。ギュスターヴは数ターンの応酬の末、オーバーチャージの義手を白髪の男に打ち込み、壁に吹き飛ばす。義手は過負荷で体から脱落するが、白髪の男は何事もなかったかのように立ち上がる。「後に続く者たちのため、そうだろ? (For those who come after… right?)」とマエルに最後の言葉を残し、剣を抜いて男に近付くが、逆に体を貫かれて倒れる。ギュスターヴの死と同時に、マエルを閉じ込めていたシールドも消える。
白髪の男はマエルに近付き手で身体を突く。マエルの本体は身体から抜け、日食を背にした空へと放り出される。そこでは姿の見えない男と女による言い争いが聞こえる。「あの子を来させたの!?」「あの子は弱すぎる」と語る女性に対し、男性は「家にいるはずだった」と返し、終わったら家に帰ろうと言うが、女性はそれを拒む。マエルの本体が身体に戻る。白髪の男は「私たちはどちらも家族のことを第一に考えている」「警告しようとはしたんだ」と語り、マエルを討とうと振りかぶる。
その瞬間、別の男「よそ者」が介入してそれを止める。白髪の男は「久しぶりだな」と声をかけ、「お前は去ることを選んだ」「今のお前は戻れず、干渉できない」と告げるが、よそ者は崖上にいる仮面の少女アリシアを指さし、「来ることを選んだのは彼女だ、おれはあんたたちの間にルールを作らなかった」と返す。よそ者はマエルに歩み寄り「ここはおれが対処する、仲間のところへ戻れ」と告げる。マエルは倒れたギュスターヴの遺骸を見た後、崖から飛び降りて仲間のものへ向かう。残された白髪の男とよそ者は遠くのモノリスを眺め、よそ者の「彼女は二度と描かないだろう」という言葉を聞いた後、白髪の男はその場を去る。
パーティの要であり、マエルの養兄だったギュスターヴを白髪の男に奪れた絶望に打たれた。しかし彼に対抗し得る謎の男「よそ者」の助けでマエルが逃げ延びたところで Act I は幕を下ろす。
ランプマスター戦後の会話
マエル「ホントに死んでる?」ギュスターヴ「そう見える。」シエル「これが例のやつ?」飛来するエスキエ「おおーっ!フローリー!」フローリーを飲み込むエスキエ「よし!今こそカタツムリのように進もう!」水面に落ちるエスキエ「飛ぶのだ、友よ!そう高くない!」ルネ「やっと海を渡れるわね。」シエル「こっそりワインを隠し持っていたりしないわけ?」エスキエ「ワイン?」ギュスターヴ「大丈夫だよ。」シエル「水は大嫌い。」シエルの肩を叩いて飛び降りるルネと、それに続くシエル。モノリスを見るギュスターヴ「ペイントレスはそう遠くなさそうじゃないか?」マエル「うん。ちょっとだけ石投げしてく?」ギュスターヴ「みんなが待ってるが…」マエル「あの女に届くかもよ。」ギュスターヴ「よし。」暗闇から白髪の男が近付く。ギュスターヴ「お、それはどう?」マエル「どれも一緒でしょ。」二人に近付く白髪の男。ギュスターヴ「いいかい、いつも言っているが、大事なのは石じゃなくて、もっと…」
閃光がギュスターヴの後ろから体を貫く。マエル「ギュスターヴ。」ギュスターヴ「逃げろ。」ペイントケージのようなもので囲われるマエル。ギュスターヴは白髪の男を見て、ゆっくりマエルを見る。マエル「ねえ… お願いだから逃げよう。」白髪の男に向かうギュスターヴ「なぜ… こんなことをする?」ギュスターヴと白髪の男の戦闘が始まるが、ギュスターヴはダメージを与えられない。ギュスターヴ「僕たちはお前に何もしていない。味方同士のはずだ。」「彼女は見逃してくれ…」白髪の男はギュスターヴへ意識を向け、攻撃の構えを取る。
エスキエに乗って海に浮かんでいるルネとシエル。シエル「上で何か起きてる。」ルネ「エスキエ、私たちを上へ!」エスキエ「無理だ!」海中から再び姿を現すランプマスター。ルネ「ああもう、クソ、クソ!」ギュスターヴは何回かのターンの後、左腕にオーバーチャージして白髪の男に打ち込む。白髪の男は壁に吹き飛び、左腕の義手は過負荷で体から落ちる。白髪の男は何事もなかったように立ち上がりギュスターヴに近付く。ギュスターヴ「後に続く者たちのために、そうだろう?」マエル「ダメ、ダメだって… 約束したでしょ…」ギュスターヴが剣を取り白髪の男に突っ込むが、逆に白髪の男に体を貫かれる。倒れるギュスターヴ。マエル「ギュスターヴ!」ギュスターヴが死ぬとマエルのシールドが消える。
マエル「ウソでしょやだやだやだ…」近付く白髪の男「お前にはまだ分かるまい。だがこれは優しさだ。酷なことではない。」そう言ってマエルを突くとマエルの本体が体から抜け、日食を背景の空に放り出される。
女性「あの子を来させたの!?あの子は弱すぎる。良くもそんな危険を冒させたものね。」男性「君が気にかけるの、自分の目の前にあることだけだ。愛しい子よ、お前は家にいるはずだった。心配するなと言っただろう。だが今ここにいるからには、動かず…」女性「何を言っているの。家に帰って。今すぐに。あなたには関係のないことよ。」男性「… これが終わったら、共に帰ろう。」女性「嫌よ!」
マエルの本体が体に戻る。白髪の男「君には分からないだろうが、私たちはどちらも家族のことを第一に考えている。板挟みにしてすまない。しかし、警告しようとはしたんだ。」白髪の男が振りかぶった瞬間、別の男がそれを食い止める。白髪の男「久しぶりだな。」マエルを見る男。白髪の男「関わるな。お前は去ることを選んだだろう。今のお前は戻れず、干渉できない。」よそ者「あんたの人生はとっくに終わっている。彼女を離すときだ。」白髪の男「人生か。私の家族との人生は引き裂かれた。いいや、私は家族を取り戻す。」よそ者「あんたの家族じゃない。だが、彼女はそうだ。」男が指さした上には仮面の少女アリシアがいる。白髪の男「彼女を使う気か?」よそ者「来ることを選んだのは彼女だ。おれはあんたたちの間にルールを作らなかった。」男はマエルに近付く。よそ者「おい、大丈夫か?」手を差し伸べるよそ者「安心しろ。ここはおれが対処する。仲間のところへ戻れ。」ギュスターヴの遺骸を見るマエル。よそ者「行け。」崖を飛び降りるマエル。白髪の男「それでどうする?お前のせいでこんなことになったが、結果の覚悟はできているのか?」よそ者「彼女は二度と描かないだろう。」二人は遠くのモノリスを見る。立ち去る白髪の男。








